こんばんは、ツクシです。
ZOZOTOWNの創業者として有名な前澤友作さんは2020年頃、Twitterを利用してお金配りと称し多くの人に現金の抽選キャンペーンを展開し、このツイートはギネス記録になるほど注目を集めました。
そして今現在、Twitter上には常にこのお金配りのようなツイートを行なっているアカウントがあるのですが、このお金配りに参加した事で特殊詐欺犯として逮捕されたという情報が出回っています。
そこで今回は、お金配りに参加する事によって特殊詐欺の片棒を担がされた仕組みについてご説明いたします。
捕まるまで真相がわからない仕組み
2020年に前澤さんがお金配りを実施している頃、すでに偽のアカウントが出現しており同様のツイートにてユーザーを集めており、前澤さんが注意喚起を行なっています。
この頃の筆者の認識としては、この偽アカウントの目的は個人情報収集やフォロワーを増やしたアカウントの転売などが目的の一次的な行為だと思っていました。
しかし最近は偽アカウントではなく資産家などを装ったアカウントを使い、例えば銀行預金残高の画面写真などでお金アピールをしながらお金配りを実施している(ように見える)アカウントが増えました。
銀行預金残高のWebページをスマホで撮影した写真なので信憑性があるように見えますが、ちょっとWebに詳しければ下記のように簡単に預金額部分などを変更する事ができてしまいます。
下記画像は本物のMUFGにログインし、Webインスペクタで個人名・契約番号・口座情報・預金額などの文字情報を書き換えたスクショです。
そしてこのアカウントを信じた知り合いの息子さんが実際に被害に遭ったそうで、その旨をざっくり箇条書きにしたツイートが反響を呼びました。
ツイートは140文字の制限があるので事件の全容が書けず、箇条書きによってざっくりとした内容はなんとなく伝わりますが、実際にどのような動きで息子さんが逮捕されたのかは想像しにくいですね。
では仮にこの息子さんをAさんとし、実際の犯人の動きや手法、そしてもう1人の被害者Bさんについて解説いたします。
お金配りに当選したAさんにはDMが送られ、期日内に口座情報などの振込に必要な情報が要求され、お金が受け取れると思ったAさんは口座情報などを返信し2万円を受け取りました。
その裏で犯人は別の詐欺、例えば最近被害が表面化してきた税金の督促詐欺によってBさんに200万円をすぐに振り込むよう説明し、ココで振込先にAさんの口座情報を送ります。
Bさんはその情報を信じAさんの口座に200万円を入金、そして犯人はAさんに「間違って200万振り込んでしまったから返してほしい」と連絡を取り、振込ではなく手渡しで現金を返すよう指示を出しました。
当選金である2万円を貰っていたAさんは犯人を疑う事なく現金200万円を引き出し、犯人に直接200万円を手渡し、今回の謝礼として10万円を受け取ってしまいました。
こうしてAさんはただお金配りに当選しただけだと思いっていたのに、実際はBさんから200万円を騙し取った特殊詐欺の「受け子」と「出し子」として使われ、詐欺罪で逮捕されてしまったのです。
この時点でわかる犯人の情報はTwitterアカウント、Bさんに連絡した際の電話番号しかなく、振込先がAさんの口座なのでAさんはすぐに身元が判明しますが、犯人は周到に準備しているのでなかなか見つけられません。
「電話番号で見つけられるだろ」と思われるかも知れませんが、世の中には固定電話番号を販売する「電話屋」という組織が存在し、バラエティ番組にも出演していた佐々木式部容疑者が上記のような詐欺幇助の疑いで先日逮捕されました。
本来電話番号には契約者の個人情報が登録されていますが、NTTではなくこうした「電話屋」が取り扱う電話番号には使用者と契約者が一致しない電話番号が存在します。
こうして犯人はほとんど痕跡を残さず現金188万円(当選金2万+謝礼10万を差引)を手に入れ、Aさんは詐欺罪で逮捕、Bさんは200万円を失う結果となりました。
お金配りアカウントに対して「自分の個人情報が抜かれても平気」なんて考えでコンタクトを取り、結果少額の現金と引き換えに実刑の伴う前科者となってしまいますので、こうしたアカウントに騙されないよう注意しましょう。